母猫のこと
三毛猫だから名前はミケ。両親が嬉しそうにそう呼んでいた。あまりにも単純な名付け方であるが、的を射ているので妙に納得してしまった。
ミケは先日の日記にも書いたが子育て中のためか気性が激しく、いつもシャーと威嚇されてしまう。エサを差し出すと指を爪で引っかかれるのだが、コレがすごく痛い。当時、実家には柴犬の老犬がいたのだが、犬とはかなり違って猫ってこんなものなのかと驚いた。
そんなミケであったが意外にも家族みんなから好かれていた。もちろん私も大好きだ。母猫として野良としての風格すら感じるようだった。なんといっても青いポリバケツのよく似合うミケだった。
Panasonic DMC-G1+Leica D Summilux25mm/1.4Asph.
年が明けたころにはミケも大分我々になついてきて、触ることはできないが唸られることはなくなった。残った2匹の子猫たち(去勢済み)と仲むつまじく庭に住み着いていた。
庭で猫の兄弟がじゃれ合って遊んでいる隣でミケがあくびをしている。そんなまったりとした風景が実家の庭でみられることが私の楽しみにもなっていた。
Panasonic DMC-G1+Leica D VarioElmar14-150mm/3.5-5.6
そろそろミケも去勢しようかなんて話が出ていたときに、ミケが口から血を流してよたよたと庭を歩いている。座り込むとぐったりとして動こうとしない。子猫たちは心配そうにそばにずっと寄り添っている。
両親はただ事ではないとすぐに病院にミケを連れて行った。ミケは翌日帰ってきたが、まだ元気はないようでじっとしている。
ミケは癌に冒されていた。すでに全身に転移して、もって1~2週間だろうという事だった。
せめて寒くないようにと家族は温室にタオルで簡易ベッドを作ってやると、ミケはそこで子猫たちと一緒にじっとしていた。
それから2週間ほどしてミケはいなくなった。
残された2匹の子猫たちは母親を必死に探して何日も呼び続けていたが、ミケはもう二度と我々の前に姿を現すことはなかった。
家に帰ってからチェリーにそのことを話してみると、か細くニャーと私を見ながらないた。
まあ、仲良くやってこうじゃないか、心配するなよチェリー。
おまえを貰うときに、ミケに大事に育てると約束しているのだから。
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