黒い女
日曜日の早朝に奇妙な事があった。
前日の土曜日の夜に小学生の長男が「おかあさんと一緒に寝たい」というので、私は寝室のベッドを息子に明け渡して和室に一人寝る事になった。
私は寝るときに明かりがあると熟睡できないタチなので、和室の雨戸を下ろしてほぼ暗闇になった状態で床に着いた。僅かな街灯の明かりが頭側にある障子から、うっすらと和室の中を照らしている。
そのうちに眠りについてしまった。
早朝に誰かが和室に入ってきたようだ。カラカラとふすまを開ける音で目が覚める。
外は明るくなったばかりのようで、頭側の障子からの光で少しながらも室内の状態がなんとか見渡せる程の明るさになっていた。
よく見ると足もと側のふすまが開いており、そこには真っ黒な姿をした女性がじっと動かずに立っていた。
◯◯?
私は嫁さんの名前を呼んだが返事がない。アレ?と思っているうちに、気がつくといつ移動したのか私のすぐ足もとにその女性は立っている。
全身真っ黒だが輪郭から女性である事が分かる。何となく顔が見えるような見えないような....黒い色の中に緑色が混じっているようなへんな黒色だ。
私はてっきり嫁さんが空気の入れ換えをするために雨戸を開けようとしているのだとばかり思っていたので、寝ぼけ眼のまま布団から体を半身起こして
「悪いけどシャッターはまだ開けなくていいよ。今何時? 私はもう少し寝る」
と話かけて布団の中に潜り込んでしまった。
一瞬、今のは嫁さんかな?と考えたが、まあどうでもいいやと思ったのでそのまま寝てしまった。
昼近くに起きてから嫁さんに明け方寝室に入ってきたかを確認したところ、そんなの知らないと言っている。
ハテ? ではアレは誰ぞや? 夢か?
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