ノラの行方
実家に居候している野良ネコのノラがいなくなった。
先週から姿を現さなくなったのだ。
ノラは可愛げも愛想のよさもなく、人の顔を見れば即逃げ出すといった非常に小憎たらしいネコであった。
だが父にだけは懐いており、父もまたノラを非常に可愛がっていた。
ノラは体が弱く、よく咳き込んでいた。
半開きの口からはいつもヨダレが流れ、抱くとお腹にいくつかの腫瘤を触れる。
父はノラは長生きできないから、可愛がってやりなさいとよく言っていた。
実家にフラリとやって来た2年前、チェリーらと殆ど同じ頃に生まれたであろう子猫だったノラは非常に臆病で、人間に対して警戒心が極めて強かった。
見た目にも可愛くないネコだ。
さぞかし色々苦労したのだろう。
ノラが心を開いたのは父だけであったが、その父により人間の愛情を2年間受け続けた。
父がいなければノラはその年の冬には死んでいたであろう。
ノラは先週から体調をかなり崩していた。
人間の寵愛はノラにとって幸せだったのであろうか。
自分はそうであったと考えたい。
今はもっと可愛がってやれば良かったと少し後悔している。
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