イモリ
子供の飼っている大事なイモリが失踪した。
水槽の蓋が僅かに開いていたのが原因だ。
普段からろくに水槽の掃除をしなかったため、義母がイモリのことを案じて掃除をしたらしい。
息子は義母を泣きながら責め立てたという。
自分がきちんと世話をしていればこの事件は怒らなかったはずだ。自分の不備を棚に上げて掃除をしてくれた義母に文句を言うとは何事かと子供を叱ったが、当の本人は納得できないらしく泣きながら寝てしまった。
それから二日が経った。
ちぇりーが私の書斎の本棚下段でなにやらゴソゴソしている。
こういった仕草をする時は何か獲物を見つけている時だ。
嫌な予感がしてちぇりーをそこから退かせ、積み重なった本を取り除いていくとそこから出てきたのは....
干からびたイモリだった。
既に事切れている。
眼球の膨らみを見るとまださほど時間は経っていないようだが、四肢や尾を見ると完全に干からびている。
全館空調の室内に両性類が逃げ出すとまず助からない。
以前にオタマジャクシから育てていたカエルが逃げ出した時も、同様の事件が起こっている。
息子の部屋から私の書斎まで約6~7mはあろう。
そこに逃げ込んでから本棚に隠れて息絶えたのだ。
干からびたイモリを嫁に見せながら子供に伝えるかどうかを話し合った。
子供は受験の直前だ。
大事に育てていたイモリが、このような変わり果てた姿で見せられるのは酷というモノだろう。
「ひょっとしたら外に逃げ出して何処かでまだ生きているかも知れない」
未だ懸命にイモリを探し続けている子供にはそう伝えておいた。
なのでまだ干からびたイモリは私の書斎部屋にいる。
乾燥剤と一緒に小さな箱に入っているのだ。
可愛がられていたイモリだ。
子供の受験が終わるまではそばにいさせてやりたい。
終わったらひっそりと庭に埋めてやろうと思う。
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はじめまして。
いつも拝見しています。
ちょっぴり可笑しくもあり、もの悲しいお話ですね。
きちんと自分の不備を叱り、「せわをするということ」を
お教えになられたことは立派です。
お子様のご多感の折り、こういった問題は微妙だということも
よくわかります。
うちも似たような環境ですが、もっと野蛮で
「世話を怠ると死ぬ」まで教えています。
投稿: まっくす | 2010年12月22日 (水) 10時14分
こんにちは、まっくすさん。
いつも見て下さってありがとうございます。
今回のケースは受験直前というやや特殊な環境だったため、イモリの死を伝えなかったという親の打算が働いてしまいました。
子育ては難しいですね。
お互いに頑張りましょう。
お返事が遅れてしまってすみません。
投稿: ちぇりた | 2010年12月23日 (木) 10時19分