EF 50mm/F1.2L USM(APS-C機使用)を使ってみる
キヤノンマウントに変えた理由の一つにこのレンズがあったからと言うことがあった。
EF50mm/1.2L USMだ。
やや重いが常用で使えるAFを搭載したF1.2の明るさを誇る驚異のハイスピードレンズ。
キヤノン版のノクチと言えるだろう。
近接撮影はなんと通常のF1.4レンズと同様45cmを誇る。
最大撮影倍率は0.15倍。フィルターサイズは72cm、重量は580gである。
見ると透き通る巨大な前玉が目に付く。
側面には特徴のある対称性のナローなくびれが入り、ホールディングを良くしている。
AFはUSMではあるが爆速ではなく、他のUSMに比べるとかなり遅い。
この明るさなのだ。仕方のないことだろう。
スーコスーコとUSMの静かな、まあまあ実用的な速度のAFで駆動されている。
私はAPS-C機でこのレンズを使うため、換算で80mmレンズとして使用することになる。
さて、いつもの如く実家のポンちゃんを被写体として撮影させた頂く。
被写体までの距離は2mとした。
ボディはEOS7D、ISOは100に固定、WBは太陽光、モードをAに合わせて開放から1~2段ずつ絞りを変えて撮影する。
【テスト撮影】
並べてある右の写真は周辺の拡大である。(クリックにて拡大する)
(まあ上端中央部辺縁の拡大画像はあまり意味がないが....)
思ったより開放のコントラストの低下が少ないようだ。
一応、隅角部の拡大ものせておく。
隅角部の画質もイメージしていた程悪くはない。
色収差も無い訳ではないが、通常の鑑賞程度ならば気にならないレベルであろう。
ただAPS-C機で撮影しているので、フルサイズの場合は周辺がどうなっているかは分からない。
まあ、これより良くなっているとは少し考えにくい。
次に最短撮影をしてみた。
開放でギリギリ45cmの撮影となる。
ボケもキレイでポートレイトレンズとして文句のないレベルだ。
このレンズは開放ではややソフトに写されるが、絞り込むとカリッとしてくる。
女性や子供を写すにはもってこいのレンズだろう。
それでは実写と感想をいくつか。
極めて明るいハイスピードレンズの場合、AFの精度が不安定になることがある。
だがEOS7Dの新型AFセンサーによって、A精度も問題なく使えるレンズであった。
だがこれだけ高品質のレンズであるにもかかわらず稼働率は決して高くはない。
理由の一つはAPS-C機で使うことによって換算80mm相当の中望遠レンズになってしまうことだ。
もう一つの理由はサイズと重さだ。
旅行に持って行くにしても、こちらを持ち出すならばEF35mm/1.4L USMを選んでしまう。
換算80mmより56mmの方がまだ応用が利くのだ。
それに35mm/F1.4Lの方が30cmまで寄ることが出来るので何かと具合が良いのだ。
キヤノンの幻のレンズ、EF50mm/F1.0L USMの小型版を彷彿させる。
最新のレンズ設計とF1.2という明るさで世に再び出してくれたくれたことに対して、キヤノンには頭が下がる思いである。
だが時代は高感度撮影たけなわである。
一般ユーザーが得られる明るいレンズの利点は、ボケを大きくするくらいしかなくなってしまった。
EF50mm/1.4 USMとF1.2の僅かなボケの差に実売4倍近い金額と倍程の重量を許容できるかどうかだ。
そんな自分は子供を写す時にファインダーに表示されるシャッター速度とF値を見ながら、「ああ、F1.2だからこの程度で済んでいるのだろうか」と変に納得してしまうのだ。
一度Lレンズを使うと後には引けなくなる。
これはそんな思いを再認識させてくれるレンズでもあるのだ。
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