Carl Zeiss C Biogon 21mm/F4.5を使ってみる
21mmという画角ながらF値4.5に押さえたが故に実現可能になったコンパクトさ。
C Biogon21mm/F4.5である。
このレンズは独特の色調を出すレンズである。
一眼レンズでこの色を出したら非難囂々になりそうな気がするが、何故かMマウントだと味わいとして納得してしまう。
私自身大好きなレンズの一つである。
重量は190g、サイズは53x31mm。
最短撮影距離は50cm。RFボディでは70cmまでを距離計で表してくれるが、このレンズでの70cm以内の場合は目測となる。
まあ、ストラップに目盛を付けて測定する方法もあるのだが、F値からあまり神経質にならなくて済みそうな感じである。
フィルター径は46mm。
それではいつもの如く、イヌの被写体ポンちゃんでテスト撮影してみる。
被写体までの距離は1m。
カメラボディはM9、ISOは160、WBは太陽光に設定した。
【テスト撮影】
冒頭に独特の色を出すと書いたが、画像を見て分かるとおり寒色系というかブルーのフィルターを通したような色調で映し出される。
自分的にはかなり好みな感じだ。
開放からシャープで十分使える画像を出している。
コントラストも文句ない。
【最短距離撮影】
21mm/50cmであるためにボケは僅かしか分からない。
目測なのがちょっと厳しい。
【実写と感想】
このレンズの特徴として、歪曲が信じられないほど少ないことにある。
コシナのHPからみるディストーショングラフは驚異の数値をたたき出している。
Leica M9+Carl Zeiss C Biogon21mm/4.5
開放ではビネッティングがかなり強く出ている。
このサイズに、フランジバックの少ないMマウントだ。仕方のないことだろう。
ただ、個人的にトンネル効果は大好きなので、トータル的に見てもこのレンズを嫌う要素は非常に少なかった。
Leica M8.2+Carl Zeiss C Biogon21mm/4.5
冒頭に述べた通り独特のクセを持ってはいるレンズだが個人的には好みである。
特にデザインが好きであった。
絞り環はライカ様の1/2でなく1/3EVステップのため一眼ライクな絞りの調整ができた。
Leica M8.2+Carl Zeiss C Biogon21mm/4.5
極めてシャープでコントラスト強めに写るこのレンズは、Leica M8.2の常用レンズとして愛用していた。
M8.2で使用すると約28mmレンズになるのだ。
だが、M8.2では超広角レンズを使うことが難しい。
画角を1.3倍換算せねばならないからだ。
そのためにフルサイズ機であるM9の導入が急がれた。
Leica M8.2+Carl Zeiss C Biogon21mm/4.5
高額なM9を手に入れるためにM8.2を手放して、しばらくはフィルム機であるM7でライカライフを楽しんでいた。
M7にこのレンズを取り付けて撮影すると、空の色が美しい自然な感じでコントラストが強めの写真を写すことができ、このレンズにさらに引き込まれていった。
そしてM9でC Biogon21mm/4.5ライフを送ることを夢見ていたのだ。
予約してから半年待たされて手に入れたM9は、私のライカライフをより充実させるはずだった。
しかし、件のオッドカラーシフト問題が表面化してきたのだ。
オッドカラーシフト
Leica M9+Carl Zeiss C Biogon21mm/4.5
M9であの独特の色合いを出せるC Biogon21mm/4.5に周辺色むらが発生する。
ソフト的に何とか消すこともできるが、手間暇がかかりすぎるのだ。
このことから、少しでもオッドカラーシフトの影響が少ない純正の6bitコードの付いた広角レンズが必要になった。
だが、純正は超高額だ。
加えてSummilux50mm/Asph.も購入せねばならない。
M8.2のUV/IRフィルター問題から解放されたと思ったら、再びカラーシフトの問題である。
しかも解決にはM8.2よりもコストがかかってしまう。
Leica M8.2+Carl Zeiss C Biogon21mm/4.5
そんな事から、徐々にこのレンズは使うことが少なくなっていった。
今から思えばM8.2とM7を使っていたときが一番幸せだったのかも知れない。
Leica M8.2+Carl Zeiss C Biogon21mm/4.5
手放してから実は自分にとってとても大切なものであったということが分かることがある。
まさにM8.2とC Biogon21mm/4.5は、そのものだったのだ。
コメント