くしゃみ
職場の2F一部は私室になっている。
私的な作業を行う場合は、よくここで残業するのだ。
SIGMA SD1+17-50mm/2.8EX DC OS HSM
数日前のこと、2Fで夜半まで残り一人で仕事をしていたときに廊下側から何かの音が聞こえた。
生き物が発する瞬間的な物音だ。
気になったので、ドアを開けて暗い廊下を見回したが誰一人いない。
気のせいだと思い、そっとドアを閉めてもう一度仕事に戻ろうと椅子に手をかけたとき再びその音が聞こえた。
「ブシッ」というくしゃみのような音だと気がついた。
しかも今回のそれは廊下とは逆の窓側から聞こえてきた。
このような時間に誰かが来たとも思えない。しかも窓側からだ。
しばらく廊下と窓側に神経を集中するが、それきりその音は聞こえない。
今日はこの辺までにしておこうと、帰る準備をするために階下に降りて、誰もいなくなった職場で弁当箱を洗い、鞄に書類を詰めていた。
すると私の真後ろでもう一度「ブシッ!」とくしゃみの音が聞こえた。
慌てて振り返るが、当然ながらやはり誰もいない。
何回か聞いているうちに、これはイヌのくしゃみによく似ているという事に気がついた。
この職場圏でイヌを飼っているところはない。
ただ、よく聞いたイヌのくしゃみだ。
この音は2年前に死んだ柴犬ぽん太のくしゃみによく似ている。
Canon EOS1DsMk2+Leica Summilux R50mm/1.4
そう言えば、偶然にも今日はぽん太の命日ではないか。
そのことに気づいた途端、しばし緊張と静寂が私以外誰もいない職場の中に張り詰める。
意を決して、思い切って声をかけてみた。
「ぽん太」
その後、5分ほど音をじっと待ったが、結局はそれっきり聞こえなくなってしまった。
あれは、ぽん太だったのだろうか。
普段、心霊なんて信じていない自分であったが、ぽん太の命日だと気がついたときには軽く寒気がした。
多分、近くに風邪気味のネコがいたのかも知れない。
もし、声をかけたときにぽん太の声で「ワン!」と返事をしてきたら、その存在を信じたのだろうか。
それともそんな現象は非現実的だからと否定したのだろうか。
それは、そうなってみないと分からないなと感じた出来事であった。
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