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2011年8月 4日 (木)

捨て猫

私が小学生の頃だから40年近く前のことになると思う。
放課後、小学校の裏手で真っ白い子猫を拾った。
よくテレビなどで見るダンボールに入っているアレだ。
あのまんまで一匹の小さなネコが捨てられていた。

20110804a
Canon EOS7D+SIGMA 17-70mm/2.8-4.0DC OS HSM

ダンボールには拾ってくださいとも、可愛がってくださいとも何にも書かれていなかったが、その中でニャーニャーと不安げに鳴いている。
当時小学生の低学年だった私は大事に子猫を拾い上げて家に連れて帰った。

当然、父から捨ててこいと怒鳴られた。
母も同じ意見であった。
だが、私はこっそりと家の裏にある物置で飼うことにした。
私はその白いネコに「ニャー子」と名付け、なけなしの小遣いでネコのエサを買って、水と容器を用意して物置で育てることに決めたのだ。

しかし、それはすぐにばれた。
夜中に母ネコ恋しさにニャーニャー鳴き続けたからだ。
翌日、父から捨ててこなければそのまま保健所に連れて行くと言われた。
子供心ながらにそれがどういう事を意味しているのか何となくわかった。
やむを得ず元のところに子猫を戻すことにした。

元いたダンボールはそのままだった。
私はそこに子猫を戻すと「ニャー子、ごめんな」と話しかけてその場を去ろうとした。
ところが子猫はダンボールを飛び越えると私の後をついてくる。
何度も何度もダンボールに子猫を戻しても同じことを繰り返すのだった。

目に涙をためながら私は最後にもう一度ダンボールに子猫を戻すと、後を振り返らずにその場を走って後にした。
後からニャー子の追いかけてくる鳴き声がいつまでも耳に残った。
家でしばらくの間泣き続けたことを覚えている。

20110804b
Canon EOS7D+SIGMA 17-70mm/2.8-4.0DC OS HSM

あれから何十年経った今でも、未だあの感情を忘れることができない。
白い子猫はあの後、生き残ることができたのであろうか。
おそらく生涯、私のトラウマとなって残るのだろう。

チェリーを飼う時にあのネコのことを思い出した。
あの白い子猫の分、このネコを可愛がってやろうと感じた。
チェリーの頭をなでる時もいつもその事を思い出すのだ。

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