クリスマスの話
何のことかというとフランダースの犬の話である。
私はこの話が大好きだ。
涙なしには語れない。
フランダースの犬には副題がついている。
それが今回の題名でもある「クリスマスの話」だ。
子供時代にテレビで夢中になってみていた。
テレビではネロとパトラッシュとの出会いや様々なエピソードがちりばめられていたようだが、原作は風車小屋の事件から始まるという。
有名な話であるから皆もご存じと思われるが、簡単に述べておく。
物語はアントワープから少し離れた小さな村での話だ。
貧乏であるが、優しい祖父のジェハンと二人だけで住んでいる心優しき正直な少年ネロは、ある日死にかけた犬パトラッシュを拾う。
ネロの献身的な手当によりパトラッシュは元気を取り戻し、ネロと深い絆で結ばれる。
ネロには絵の天賦的な才能があるが、村人達からは理解されないでいた。
ルーベンスのような画家になるのがネロの夢だったのだ。
幼少期に両親と死に別れたネロにはアロアという仲の良い友人がおり、且つ良き絵の理解者でもあった。
ネロはアロアの絵を描いた。
だが富豪であるアロアの父コゼツは、娘のアロアがネロと仲良く遊ぶことを疎ましく思い、ネロには冷たくあたるのだった。
直に二人はコゼツにより引き離されてしまう。
あるとき風車小屋が火事になり、ネロは無実であるにも関わらず罪を押しつけられる。
村のみんなからは距離を置かれ、荷車を引いて牛乳配達をしていたネロは職を失う。
また時を同じくして優しい祖父のジェハンが病気で亡くなってしまう。
お金もなくなり、このままでは家も引き払わねばならないネロは、クリスマスに行われる絵のコンクールで賞金を得ることを考える。
失意の内にあったネロであったが、優しいおじいさんとパトラッシュをモチーフにデッサン画を完成させコンクールへと応募する。
だがコンクールは落選し、ネロは全てを失った。
街はクリスマスで賑わっている、空からは雪がチラホラと舞いだした。
行く当てのないネロとパトラッシュは空腹に耐えながら吹雪の中、さまよい歩くのだ。
その時、雪の中に埋まっていた大量の金貨の入った袋を拾い上げる。
それはアロアの父、コゼツが落とした大事な大金であった。
ネロはその金貨をアロアの家に届けると、パトラッシュをアロアに預けて吹雪の舞う外へと姿を消した。
間もなくコゼツが金貨を見つけられずに項垂れて戻ってくる。
そして目の前に置かれた金貨を見て驚く。ネロが届けてくれたモノだと知るのだ。
誠実にそして正直に生きるネロに、コゼツは今までの自分の行いを恥じて懺悔し、ネロに許しを請うため彼を探しに家を出ようとした。
ちょうどその時、コンクールの審査員もコゼツの家を訪ね、応募されたネロの絵に才能を見いだし、是非彼に絵画の勉強をさせてやりたいと申し出たのだ。
だが、全ては手遅れだった。すでにネロは吹雪の中に姿を消して見つからない。
そしてパトラッシュもまたネロを探しに吹雪の中に消えていった。
ネロはアントワープの誰もいない大聖堂の中に一人いた。
凍える体を引きずってようやくここにたどり着いたのだ。
ネロはクリスマスの夜だけ開かれている、あこがれのルーベンスの絵を初めて見ることが出来て涙し、神への感謝の祈りを捧げた。
そこに空腹と寒さで息も絶え絶えなパトラッシュがネロを見つけて寄り添ってくる。
二人は抱き合い、ルーベンスの絵を見つめた後、パトラッシュは眠るように瞳を閉じて項垂れながら肩を落とす。
ネロは優しくパトラッシュに腕を回して体を寄り添わせながら瞳を閉じた。
雪の中、泣きながらネロを探すアロアの「ネーローっ!」という悲痛の叫び声がクリスマスの夜に響きわたる。
そして暗く静まりかえる大聖堂の中に天使が舞い降りて物語は終わる。
Panasonic GX1+Lumix G20mm/1.7ASPH.
元はイギリス人の作品だという。
この救われないほど悲しい物語になぜ惹かれるのだろう。
因みに、この作品が受けるのは日本だけだという。
ベルギーでは我々はこんなに冷たく当たることはあり得ないと作品を否定し、アメリカ映画では最後をハッピーエンドに作り替えられた。
ピーテル・パウル・ルーベンス
独身時代にフランダースの犬がアニメでリメイクされて映画館で公開された。
もちろん、ネロもパトラッシュもアロアもテレビで見た設定と殆ど同じだ。
きれいな作画に美しいCG画像。
当然ハンカチは必須品だ。
いい年こいた大人なのに再び泣いてしまった。幼少時代から20年以上たっているにも関わらず。2回も映画館に出かけてしまったほどだ。
我々は終末に美を求めるのだろうか。
当然ながらDVDも購入してある。
毎回見る度に目に涙を溜めてしまう。
スタッフに勧めるも、暗い映画なのでちょっと...と軽く拒絶された。
いや、暗くはないよ、暗くは。ただ、悲しいだけなのだ。
これは嫌な涙ではない。今年のクリスマスもまた見てしまうのだろう。
Panasonic GX1+Lumix G20mm/1.7ASPH.
フランダースの犬。
これは私の大好きなアニメ3作品の内の1つである。
1つは宇宙戦艦ヤマト。
1つはフランダースの犬。
そしてもう1つは....。
ちぇりたさんが「フランダースの犬」をどれ程好きかが伝わってきました。
。
私もフランダースの犬は素晴らしいアニメだと思います。
ですが、悲しいお話で観た後にもんもんとしてしまうので、観るのに気合いが必要です
投稿: コニー | 2011年12月25日 (日) 01時02分
いや、お恥ずかしい。
短くまとめようと思ったら長いブログになってしまいました。
この物語の肝はやはりパトラッシュなのでしょう。
ネロとパトラッシュの間には何者もつけいる隙はありません。
きっとパトラッシュは....
あ、いけませんね。
コメントでも長くなるところでした
投稿: ちぇりた | 2011年12月25日 (日) 02時44分