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ana

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2012年6月14日 (木)

ウサギ

15年ほど前までウサギを飼っていた。
弟が露天商で買ってきたというミニウサギである。
手のひらに乗るほどに小さい真っ白な可愛いウサギだった。

2匹売れ残っていたウサギの一羽らしい。
どれどれと手に取ると目が赤い。
おかしい。
ミニウサギであるネザーランドドワーフは黒目だと聞いていたので、これイエウサギじゃないの?と弟に問いただすと、いやミニウサギとして売っていたので絶対にミニウサギだと頑として受け入れなかった。

20120614d

ところが、ウサギは弟の意に反してみるみると巨大化していき、4,50cmはあろうかという大きなイエウサギに育ってしまった。
しかも頭が相当悪かった。
今までにもミニウサギは飼った事があったが、人の後についてきたり、エサをねだったりと可愛い仕草が多かったがこのウサギは違う。
ヌボーっとした愚鈍なウサギだったのだ。

この可愛げのないウサギを弟は放置するようになっていった。
なので私が代わって面倒を見ることになる。
弟はウサちゃんと呼んでいたが、私はウサ吉と呼んでいた。

庭が大好きで、一度離すとだーっと何処かへ行ってしまう。
その後の捜索には本当にくたびれた。
また、一度ウサギと一緒に寝てみようと思い、ウサ吉を寝室に入れたら翌朝に布団の周りを糞だらけにされたこともあった。
私の自室の姿見下が大好きで、そこにはいつもオシッコのあとがあった。同じところで何回もやるのだ。

20120614a_2

このウサギのケージの中を掃除するときには、いつも人の手にしがみついてきて何かコトをしようとする。
ウサギのブツがあんなに細長いモノだとは知らなかった。
初めて手につけられた時には、ビビって叫んでしまったほどである。
しかし、慣れてくるともうほったらかしである。好きなだけさせて満足したら去って行くので、その方がケージの掃除も楽だった。



ある日、ウサ吉とともに庭のプランターの土にアンプルタイプの栄養剤をさしていたところ、口を開けたアンプルの中身が飛び出してウサ吉の目にかかってしまった。
のたうち回って苦しむウサギを慌てて抱きかかえ、水道の蛇口にまで連れて行き、流水で目玉をしばらく流してやった。

通院して介抱したがウサ吉の視力は元に戻らず、木の幹や石に頭をゴツンとぶつけることが多くなり、直にウサギらしからぬ動きのようにソロリソロリとした動作になってしまった。
視力の低下で、大好きな庭を走り回ることも出来なくなったウサ吉に詫びて、以来なるべく好きなことをさせてやるようになった。

ウサ吉はガムが大好物だった。
以前、食べるだろうかと試しにガムをあげたことがある。
当時販売されていたグリコキスミントというガムで、非常に気に入ったらしくいつまでも口の中でモグモグやっていた。
特にライチ&レモン味が大のお気に入りで、やみつきになったらしく私がそのガムを噛んでいると早くよこせとケージの中で床を叩きながら大騒ぎするのだ。
腸閉塞でもおこさないかなと心配だったが他にウサ吉には楽しみがないし、まあいいかと気前よくおやつ代わりにあげていた。

そんなウサ吉も12歳になるとケージの中でジッとしてるとことが多くなる。
ウサファン通信という雑誌を毎号買ってきて、なるべくウサギの喜ぶようなことをしてやろうと記事をよく読んでいた。
大好きな庭に出しても、あのノソノソとした動きはもうなく、何分も1箇所でジッとしていることが殆どになってしまった。
お気に入りのオオバコの生えているエリアに連れて行っても、モソモソとちょっとだけ食べる程度だ。

春の温かい日に、鼻をひくつかせながら目を細めて日向ぼっこをしている幸せそうなウサ吉が印象的だった。

そして桜が満開のある晴れた日の暖かな午前中、ウサギは母に看取られながら眠るようにその生涯を終えたという。
翌日、桜吹雪のなか大好きだったオオバコの生えている木のそばに穴を掘って、そこに桜の花びらを敷き詰めてウサ吉を寝かした。
そして餞別に大好きだったキスミントも二箱入れておいた。

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Canon EOS5D markIII+EF50mm/1.2L USM

今でもそこにはウサのお墓である石が載せてある。
もうオオバコは一本も生えていない。ハナニラばかりになってしまった。
ウサ吉が食べてしまったのかもしれない。

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コメント

ちょっとビターで心の温まるお話、ありがとうございました。優しい気持ちになれました。

他にも数匹ウサギを飼ったこともあったのですが、このウサ吉が一番印象深かったです。
天寿を全うできたのはこの一羽だけだと思います。

自分のせいで視力を失わせてしまったウサに対して、未だに呵責がありますね。
天国では視力が回復してくれていると嬉しいです。

ウサ吉、大切にしてもらって幸せだったと思いますよ(*^-^)

そう言ってくださると、救われた気持ちになりますね。
ありがとうございます。

思い切って書いて良かった。

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