赤岳道中記(後編)
宿で早朝に目が覚めたと思ったら、友人に再び起こされた。
どうやら二度寝していたらしい。
酒による夜更かしは怖いねと言いながら、朝からカップ麺をすすって出発する。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix GX VARIO12-35mm/2.8ASPH.
調子がイマイチのようだ。
食欲もあまりなく麺も半分残した。朝からもたれるカップ麺と言う事もあったのかも知れない。
バウムクーヘンは途中で食べながら行くことにする。
すでに30分の遅刻であった。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix GX VARIO12-35mm/2.8ASPH.
今回は赤岳まで10時間近い歩行を考えているので、登頂を失敗し水補給が出来ない最悪のことも考えて水は3lを用意した。
水分補給量の少ない友人も、あながち起こりえないことではないと水を多めにザックに詰め込んでいた。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix GX VARIO12-35mm/2.8ASPH.
最初の通過点である羽衣池に到着した。
このあたりまでは道も比較的整備されており、難なく遊歩道を進むことが出来る。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix GX VARIO12-35mm/2.8ASPH.
まずは赤岳に向かう前に牛首山を超えねばならない。
ここから先は足下の見えにくいクマザサとの戦いになる。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix GX VARIO12-35mm/2.8ASPH.
まだ道は平坦で体力も十分だ。
マメに塩サイダーキャンディーを舐めて、塩分補給に努める。
遅れた分を取り返すためにも、少しピッチを上げて上り始めた。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
途中、スキーのリフト乗り場だった無人の小屋に着いた。
ちょっとここでひと休みをする。
この場所で休んだときに、何か体調がおかしいと感じた。
普通、登り始めると最初のうちは苦しいがすぐに楽になってどんどん登ることが出来る。
ところが、今回それが来ないのだ。
いつまで経っても辛い状態が続いている。
結局バウムクーヘンは食べられなかった。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
第2の通過ポイントである賽の河原だ。
手前の山が牛首山、奥に目指す赤岳が見えてきた。
だが、ここに来るまでに休息時間が急に激増した。
ピッチが上がらず、立ち止まってしまうことが多くなってきたのだ。
徐々にタイムロスが増えて、友人が心配そうに声をかける。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
牛首山までの道のりで、ついに登山速度は半分以下になってしまった。
友人に申し訳なく、先頭を譲って牛首山まで先に行ってくれと伝えた。
頭痛や吐き気もなく、この高度で高山病もないであろうから、疲れから来る疲労なのではと疑い始めていた。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
ようやく眺めの悪い牛首山山頂へとたどり着いた。
ベンチに腰掛けて項垂れる。
すでにレンズを取り替える気力もない。
そこで友人が、その体調では赤岳は無理だと判断したらしく、下山を強く勧めてきた。
本来は、そろそろ赤岳山頂にたどり着いていなくてはならない時間だったのだ。
なんとか山頂まで行けないだろうかと伝えたが、山小屋泊ならともかく日帰りでは下山出来なくなるため不可能だと話した。
猛烈に残念である。
それよりも、誘ってくれた友人に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
それではと、帰りの時間と飯の時間プラス余裕を入れて午後1時まで登ってみようという事で折り合いが付いた。
ここまで来たのだ。
せめて赤岳の壁面にしがみつかねば納得出来ない。
たまにチラホラ見える赤岳が泣ける。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
ようやく赤岳への直ルートに入った。
このあたりからようやく赤岳を間近で見られるようになる。
テンションの問題があるので、なるべく見えていた方が嬉しい。
ペースを上げられないのが残念だが、少しずつ休み休み登っていく。
山頂で水分補給が出来ないため、水を多めに持ってきて大正解だ。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
後ろを見れば、先ほどまで苦労していた牛首山が見える。
このあたりから疲れも相まって写真を撮るのも億劫になる。
結局、頂上への鎖場までもう少しというところで諦めて引き返すことにした。
食欲はなかったが、岩場にスペースを見つけて友人とカレーを作った。
ところが食べ始めると思ったより食欲が出てきて、あっという間に平らげた。
食後に作ったミルクコーヒーは異常な旨さだ。
なんか力が漲ってきた。
一体これはどうしたことか?ひょっとしてただの飢餓状態だったのかしら?
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FISH EYE
せっかくペースが回復してきたと思ったら下山である。
残念だ。
と、思っていると急に冷たい風が吹いてきてあたりがガスって来た。
これは危険と速攻で荷物をまとめて山を下り始める。
案の定、雷雲が発生して牛首山を越えるあたりからゴロゴロ鳴り始めた。
空が急に暗くなって足下が危なくなってきた。
カメラをザックに仕舞い込んで、帰り道を急ぐ。
その時、友人が木の階段のところで転けた。
足下を引っかけたらしい。
どうやら友人の膝がすでに笑い始めているようだ。
これまで無理を言って苦労させたあげくに、転倒までさせてあちこち痛がる友人に重いザックは担がせられないので、私が二個背負って降りることにした。
2つ担いでスタスタ降りる姿を見て、本当に登山中のヤツと同一人物か、ブリッ子してたのかと友人から悪態をつかれる。
気が済むまでどんどん言ってくれ。今回は私が悪い。
しかし、登山中より下山の方がこんなに元気になることは自分でも初めてであった。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G20mm/1.7
なんとか無事、宿の夕飯時間前にたどり着くことが出来た。
動けないだのケガだのと色々あったので12時間近くかかっていたことになる。
夕食に向かうとき、自分もひどい筋肉痛になっていたことに気づいた。
今回は赤岳登頂に大失敗であったが、次回はちゃんと朝飯をしっかりと食べて再チャレンジをするのだ。
当然、睡眠時間はしっかり取るつもりである。
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