EOS Mを購入した理由の一つに天体撮影に使用するという目的があった。
基本的に月や太陽に対して、超望遠レンズをAFで使用するということなのだが、一般的な星景星野写真に於いてはどのくらいのポテンシャルを秘めているのか気になる機種でもある。
なにしろボディが小さく軽量なので赤道儀に載せるにはもってこいのデジカメだ。
はたしてEOS Mは天体にも十分使える機種なのであろうか。
というわけで、早速EOS Mの長時間ダークノイズについて検証してみたい。
【ダークノイズ比較】
基本的に夜空に浮かぶ星は僅かな点光源でしかないために、どうしても高感度撮影が必須となる。
カメラの性能や空の状況に応じて、ISOは800から3200位まで使うのが一般的なようだ。
そして普通の撮影と大きく異なるのが露出時間だ。
こちらも状況に応じてだが数分から場合によっては数十分もの露出を図ることがある。
このときに問題となるのが熱ノイズである。
Olympus OM-D(E-M5)+Lumix G8mm/3.5FishEye
フィルムと違ってセンサーは長時間の露光でセンサー自体が熱を帯びる。
このときにノイズを拾ってしまうのだ。
通常の高感度ノイズが優れているボディだからといって、熱ノイズの耐性も優れているわけではない。
これがダークノイズの厄介なところなのだ。
まあ、熱ノイズを減少させる方法が無いわけではないのだが、そこまで本格的に機材をつぎ込む気はないので、とりあえずはノルマルボディから出したファイルのみで検証する。
【テスト結果】
結果は写真をソフト的にいじらず、そのまま撮って出しの編集とした。
横軸がISO感度、縦軸が露出時間である。
ISOの800・1600・3200に対して、露出時間は各々3分・5分・10分でテスト撮影を行った。
室温は22度。
EOS M
まあ、予想通りというか・・・・。
やはりダークノイズに強いセンサーというわけではないようだ。
このテストだけから見ると、ISO800ならは5分(300秒)まで、ISO1600ならば3分(180秒)、ISO3200は画面下床に著しい熱ノイズが現れ実用的ではない。
では、次に露出を+3.0ほど上げてデータの耐性を見てみる。
EOS M/ 露出+3.0
こうなるとほぼ全滅である。
辛うじてISO800の3分(180秒)が使えるレベルだ。
高感度の長時間露光は一見ノイズが少なく見えるが、赤くベッタリとしたコンタミされている激しいノイズに変わり果て、すでに修正云々という状況ではなさそうだ。
その辺を詳しく見てみるために、右隅角部のトリミングを見てみる。
EOS M/ 隅角部トリミング
こうしてみると、実用的なデータはISO800で、露出時間は300秒くらいであろうか。
贔屓目でISO1600、露出180秒あたりか。
因みに高感度、長時間露出の中央部は綺麗なように見えるが、びまん的に赤いノイズでコンタミされている。
ハッキリ言ってISO3200以上で星景写真を撮影するには危険なレベルだ。
【まとめ】
私のような天体写真初心者が云々述べるのは気が引けるが、感じたことを書いててみたい。
EOS Mで天体写真を自在に撮影するのはかなり厳しいと思う。
一つは上で述べたようにダークノイズの耐性がイマイチだったということもあるが、このEOS Mは実は放熱対策が十分出来ていないのではないかという事だ。
この写真を見ていただきたい。
EOS M/ 60sec & 180sec
これは3分から10分のダークノイズ検証時では実用レベルのボーダーが分かりにくかったので、1分のダークを撮影してみたのだ。
コントロールとして3分(180秒)のデータを一緒に載せた。
ここでISO1600の1分と3分を比較すると、1分の方がノイズが多く出ている気がする。
そこで露出を+3.0上げて再度比較してみる。
EOS M/ 60sec & 120sec 露出+3.0
ここで意外な結果が出てきた。
ISO800・60秒の熱ノイズの方が、ISO800・180秒よりも多いのだ。
それにISO1600の熱ノイズは、60秒と180秒で殆ど差がないように見られる。
この原因が何かは分からないが、実は1分のダークを撮影したのは3分・5分・10分のダークを撮影した直後である。
ボディがそれなりに熱を持っていたことは確かなのだが、連続撮影でこのような熱ノイズの増減はあるのだろうか。
いままでEOS 60Daでコンポジット撮影のために連写したことはあるが、ノイズの増加に気づいたことはなかった。
それにバッテリーの持ちはどうだろう。
結果的に今回のテスト撮影で10分x3回、5分x3回、3分x3回、1分x3回行ったところ、フル充電のバッテリーがちょうど赤く容量不足表示の点滅をし始めた。
まあ、ミラーレスで10分以上のダーク撮影をした事がなかったので、この持ちはいい方なのかはよく分からない。
いずれにしても、EOS Mで星景星野写真を撮るときには、ISO感度を下げて撮影する必要があるだろう。
そしてその代わりに明るい大口径レンズを使って光量を補うしかあるまい。
オマケに予備バッテリーも持参した方がいい。
撮れないことはない。
しかし、天体写真の敷居はちょっと高いと思う。
後日述べるが、星景星野に使うには決定的な不備があるのだ。
初代EOS Mが狙っているターゲットは、明らかにここのようなブログに来るカメラ好きユーザーさんを対象にしているのではないようだ。
後継機に期待したい。
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