バーゴンズ
高校の時に同級生らと作った野球チームだ。
当時、毎週水曜日のTV番組で隊長率いる探検隊が、世界中の秘境を探索するというシリーズものがあった。
ある週に、"謎の猿人バーゴンを追え"という回があったのだが、これが非常にインパクトがあった。
その猿人が友人にうり二つだったのだ。
翌日から彼のニックネームは当然の如く"バーゴン"になる。
彼は未だに親交がある高校4人組の一人である。
非常に温厚で人当たりも良く、誰からも好かれる性格をしていた。
彼はそのニックネームを嫌がることなく素直に受け入れ、人語を話さぬ猿人としてのパフォーマンスまでしてくれるほどのサービス精神豊かな人物である。
Canon EOS 5D MarkIII+Carl Zeiss MakroPlanar T*50mm/2.0ZE.
当時、我々は放課後に校庭で野球をしていた。
各々の部活の終わった後に、空いたグラウンドを使わせてもらっていたのだ。
いつしか、チーム名は彼の名字を取って、◯◯バーゴンズと言われるようになった。
もちろんネーム元の彼は監督兼選手だ。
ユニフォームもお揃いでそろえた。
我々4人のポジションはファースト、セカンド、サード、そしてチーム監督の彼はキャッチャーである。
"マネージャー兼ピッチャー"を自称する別の友人がチームに入ってきたが、彼の投手力では余所のチームと試合をしてもまともなゲームにはならなかった。
ピッチャーが駄目だと試合にならないことを痛感したのだ。
実力のあるピッチャーが欲しい。
そう言う結論になり、高校野球部の同級生ピッチャーをバーゴンズにスカウトすることにする。
もちろん、部活の方を優先することは当たり前の条件ではあった。
こうして、バーゴンズは近所の商店街チームと競り合うほどのチームへと変貌した。
Canon EOS 5D MarkIII+Carl Zeiss MakroPlanar T*50mm/2.0ZE.
だが、高校を卒業してみんなが様々な進路へと進むに従い、バーゴンズは自称マネージャーの主導の下、分裂散開していく。
私が最後にバーゴンズの試合に出たのは大学生1、2年の頃だろうか。
その頃のバーゴンズは既に半数以上が知らぬ人材に占められており、ネーミングの元になった彼の独特の居場所は既になくなっていたのだ。
以降、我々はバーゴンズの試合には出なくなった。
先の友人の独擅場になったバーゴンズがその後どうなったかは分からない。
名前の由来になった彼さえ、それからのバーゴンズは知らないという。
我々の愛すべきバーゴンズは既にそこにななかった。
あれから20年以上、いつもの高校4人組との定例会では不思議とバーゴンズの話は出ない。
これからも出ることはないだろう。
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