AF-S NIKKOR 58mm/F1.4G(テスト撮影)
実はこのところ最も稼働率が高いレンズがこれだ。
このAF-S NIKKOR58mmはどこがよいかと聞かれたときに特定の言葉で返答するのは難しいが、雰囲気が出せるレンズだと思っている。
ただ、最短撮影距離が60cm弱あるので、どうしても子供やネコを撮るときにピントが合わず一歩後退してから取り直すことが多い。
そんなレンズであるにもかかわらず結構使ってしまう。
それがどんなものなのか、テスト撮影で確認してみたい。
被写体はいつもの犬の置物。
距離は2mに設置して、AF-S NIKKOR58mm/1.4GをボディのDfに取り付ける。
ISOは100、WBはオートに固定し、Aモードで各絞り値にて撮影した。
【テスト撮影】
惰性に各絞り値をダラダラ並べるのを防ぐために、2段ずつの写真をアップする。
上段は通常撮影。下段は中央部と隅角部のトリミングである。
通常撮影からは被写体後ろのボケっぷりが素晴らしい。
また四隅にはかなりのシェーディングが分かる。
被写体は一見切れ切れの画像のようであるが、トリミングを見てみると・・・・。
このようにちょっとソフトな感じで描写されている。
だが、ハロっぽくは見えるが実際にはコントラストは高く、芯もある程度しっかり出ているようだ。
この描写はEDレンズを多数使った開放から芯をハッキリ出すようなレンズとは一線を画している。
被写体体幹部の境界面を見るとグリーンの収差が浮き出ているのが分かる。
全群繰り出し式のレンズの場合、ピント後方に生じる現象だ。
ちなみに前方にはマゼンタが生じる。
フォーカシングに拘った分、ボケは非常に美しい。
高額なレンズだけある。
絞ると途端に解像感がグッとアップしてくる。
シェーディングはあまり気にならないレベルになり、ニコン風のカリッとした描写である。
トリミングした画像からも収差は消失し、解像感もいい感じになっている。
この画像は2段分絞った画像だが、F2.0でもF2.8同様の傾向だ。
F2.0ではシェーディングがまだ少し残っている。
絞り込んでもボケのきれいさは維持されている。
拡大画像も文句ない。
F11
F2.8以降は解像感における極端な差は出ない。
ボケの差ぐらいであろうか。非常に扱いやすいレンズだ。
絞りすぎると回析が出てくるのでこの辺で。
【最短距離撮影】
あまり寄れない58cmによる近接撮影を行う。
やはりボケは強烈に美しい。
近接撮影するなら開放かなあ。だが絞り込んでもいい味わいがある。
開放では点光源に若干の口径食が見られる。
2段絞るとほぼ円形になる。
F5.6あたりから9角形の光源ボケが目立ち始める。
とはいってもほぼ円形ですが。
非球面を使っているが光源ボケに同心円状紋様は見られない。精度の高い非球面だ。
【まとめ】
このレンズはノクトの再来と言われているらしく、本領発揮は夜景だという。
だが、私はまだ夜景にこのレンズを使ってはいない。
なので、一般撮影のみについて感じたことを書いていきたい。
このレンズを使い始めたときに思い出したレンズがある。
M型ライカの球面ルクス35mmだ。
球面Summilux35mmは開放では非常に柔らかくソフトな描写であるが、絞り込むとカリッと鮮鋭度が増してくる面白いレンズだ。
AF-S58mm/1.4Gと球面ルクス35mmとが同じ傾向であると言うわけではない。
58mmの方が開放からコントラストはしっかりしているし、ボケ方に関してもかなり上手だ。
どちらのレンズも独特の雰囲気を持っているということなのだ。
最新レンズの傾向に多い、開放から解像感が高いレンズとは若干異なる。
これは、決して58mm/1.4Gが開放は使えないということではない。
逆に開放にこそ、このレンズの真の実力が秘められているのではないかと思うのだ。
俗に言うクセ玉というレンズがある。
先に述べた球面ルクス35mmなどがそうだが、ただ古いレンズというだけの描写能でなく、レンズ性能を数値化したものでは見られない「何か」を特化したものが、未だに愛好家の多いクセ玉として残っているのではないかと感じている。
その「何か」がこのAF-S NIKKOR58mmと同じものとして隠されているかどうかは分からないが、写し始めたときに球面ルクス35mmと同じにおいがしたと自分は感じたのだ。
取り敢えず、この「何か」を「味わい」としておく。
代表的な古いクセ玉が好きな人は、多分このレンズにハマる。
このレンズにハマった人は、そのクセ玉にハマる「かも」しれない。
「かも」というのは、やはり今の時代、AFがないと厳しいですからねえ。
特にその頃のレンズが好きな人は私同様老眼が・・・・。
と言うわけで、昔と違って開放から現代風の実用的な描写能を持ちつつ、超音波式のAFモーターまで付いて、しかも「味わい」までも付属しているこのレンズはどうでしょう。
おそらくNikonからは何種類も乱発するレンズではないと思われる。
所持する焦点距離に関係なく一本あると面白い。
今回は妙に抽象的になってしまったなあ。
AF-S NIKKOR 58mm/F1.4G
スペック
テスト撮影
実写と感想
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