ロッキーチャック
数日前のことである。
仕事が終わって帰途につき、自宅の門扉をくぐり玄関に手をかけようとしたその時に強烈な異臭に見舞われた。
嗅いだこともないような凄まじいケモノ臭だ。
思わず鼻を手で覆い隠す。
何なのだ、この臭いは。
出所を探るため周囲を見回す。
湿度を感じるこの悪臭はまだ吐き出されてから時間の経っていないように思われた。
カサリと庭の植え込みで音がした。
暗闇に目をこらすと何かの動物がいるようだ。
ネコかな?
確認するために近づくと、その動物は脱兎の如くかけだして自宅の壁に沿って逃げ出した。
玄関前にあのような異臭を放つ不届きなケモノを確認するために追跡を始めた。
隣家の飼い猫である○ュウちゃんかな?
でもあの臭いはネコのそれとは全く異質なものだった。
そうこうするうちにその動物は我が家の雨樋を伝って屋根の上へと登っていった。
その時に初めてシルエットが見えたのだ。
あっ! あれはまるで山ネズミのロッキーチャックそのものではないか。
シッポの長さからはガンバのノロイのほうが近いかも知れない。
逆光なので色は不明だが、以前見た友人宅のタヌキとは全く異なる形状だ。
ロッキーチャックはそのまま屋根の上に登り切ったあと気配を消した。
慌てて自宅に入ってから事の顛末を嫁さんと子供に聞かせるが、壁をよじ登る音や天井からの異音は気づかなかったという。
それではとチェリーを先ほどの玄関前に連れ出してみた。
あのケモノ臭に対する反応を見てみようという魂胆だ。
ところが10分ほど時間が経過したためか、あの臭いは全くなくなってしまったのだ。
チェリーは自転車置き場の辺りをやたら気にしているようだが、自分的にはまるで臭いは分からなかった。
あのロッキーチャックはどうなったのだろう。
まさかとは思うが、降りられなくなってまだ屋根の上にいるなんてことは・・・・、この炎天下の続く夏日には考えたくないものである。
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