襖
私が学生の頃の話だ。
当時の実家には廊下と仏間を遮る襖があった。
リフォームによりその襖はすでに無くなってしまったが、その廊下を歩くことがとても恐ろしかった。
Canon EOS 5D MarkIII+EF35mm/1.4L USM
夜間、その廊下を一人で歩くと通りがかったときに襖が「ガタン」と鳴るのである。
最初はベルヌーイの定理でも働いて動いているのかと思っていた。
結構大きい音である。
鳴ると分かっていても驚くので、不意を突かれると飛び上がらんばかりに驚かされる。
おかしいと感じるようになったのは、その襖の前を意識して歩くようになってからだ。
空気の流れが出来ないようにゆっくりと歩いても、前を通りかかると「ガタン」と音がする。
走り抜けてもそうだ。駆け抜けた後に音がするのではない。前を通り抜けるときに音がするのだ。しかも夜間だけに。
温度や湿度に影響された床に原因があるのだろうか。
飛んでも跳ねても軋むような音は全くしない。
兄弟や両親に話しても、そんなことを経験したことなど一度も無いという。
こうなると気になって仕方が無い。
兄弟をその場に連れ出して、これから例の音が鳴るから私の動きと襖を見ていて欲しいと相談したこともある。
だが、そんな時に限って全く音は鳴らない。何も起こらないのだ。
夜に私が一人で通るときのみ音が鳴るのでタチが悪い。
もう怖くて怖くて仕方が無かった。
トイレがその奥にあるので、深夜のトイレは拷問に近い。
耳をふさいで反対の方向を凝視しつつ歌をうたいながら通ることもあった。
いっそのこと襖を外すという方法もあったのだが、両親に怒られるだけでなく襖の向こうに何か見えるのも怖かったので実行には移さなかった。
Canon EOS 5D MarkIII+EF35mm/1.4L USM
原因は結局分からず終いだ。
当時、襖を両手でつかみながらガタンガタンと前後に揺すったことがある。
だが、その襖は微妙に重く、人の歩く風圧程度で揺れ動くような代物ではなかったのだ。
幼児の頃にも襖ネタで怖い思いをしたことがある。
以来、夜の襖はチョット苦手である。
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こんばんは~
スマホで読んで、さらにPCで2度読みしました。(笑)
怖い話って昔はよくありました。
私の仕事の建築では、それを技術的に解明することがよくあります。
古い家の場合は、基礎が下がって柱、そして敷居が下がりふすまが
自然と閉まる、、、そんなケースもありました。
きっとなんか理由があるでしょうけど、知らないほうがミステリーです
よね。(笑)
投稿: SAKURA | 2015年6月 3日 (水) 18時49分
この現象は1年続かなかったと記憶しています。
お盆にはかかっていなかったので、初冬から春くらいまでだったかと。
当時は古い家だったので、おそらくはSAKURAさんが仰るように物理的な現象だったのではと思っています。
確かにオチが不明の方がネタにはなりますね。
投稿: ちぇりた | 2015年6月 3日 (水) 22時55分
ウォーひさびさに不思議シリーズきましたね^^
私の家も座敷の奥にトイレがあり、ふすまが続いていて怖かった記憶があります。
私の場合は、必ず弟とトイレに行っていました。
弟も、私を呼んで・・・ 小学生高学年くらいまで^^;
なんだったのか気になりますねぇー
投稿: SIJIMI | 2015年6月 4日 (木) 20時44分
SIJIMIさん、こんばんは。
昔は襖や障子と言うと行灯、行灯と言えば油、油と言えば猫又・・・・
なんて思考が働いて怖い雰囲気がアリアリだったようですが・・・・
今のご時世は妖怪よりも怨霊ですかねえ。
イメージ的に怖いのは・・・・。
でも見えない、または正体が分からないという漠然とした怖さというのもあります。
得体の知れない魑魅魍魎とした恐怖・・・・
うん、時代はこれですかね。
投稿: ちぇりた | 2015年6月 5日 (金) 00時20分