ポタ赤を再考する7(ポーラメーター改造編)
先月の月撮影の時にコンパクト・ポタ赤であるナノトラッカーを使用した。
周囲を高層建築物で囲まれる都心では、画面固定のための極軸合わせに必須な北極星を目視出来ないケースが多い。
そんな時に活躍するのがこのビクセンから発売されているポーラメーターだ。
北極星の緯度を簡単に設定できる傾斜計と、北を示すコンパスが付いている。
しかも1度目盛り付きのために偏角補正の調整は実に便利である。
ところが、このコンパスが曲者なのだ。
非常に動きがトロい。
山コンパスに慣れている身からすると緩徐という言葉すら生ぬるい。
日が昇ってしまうのではないかという程に動きが遅いのだ。
磁針が円盤状コンパスのオイルフロートなので重量と抵抗が大きい。
たまに稼働中停止してしまう。
そんな時はトントンと指で叩くと再び移動を始めるが、叩き続けるとコンパスの針が一周してくることもある。
傾斜計は実に便利なのに、コンパスがタコなので十分に実力を発揮できない不遇のポーラガイダーだ。
実際に月撮影時は山コンパスでポタ赤の向きを調整した。
写真d
と言うわけで、今回の記事はこのチンタラしたポーラメーターのコンパスを、キビキビした山コンパスに入れ変えて実用性の高いアイテムにというのが趣旨である。
まずは付属しているコンパスを調べてみる。
ポーラメーターのS極側にはコンパスを取り外す小さな間隙があるので、小さなマイナスドライバーで引き出した。
コンパスは両面テープで固定されていたようだ。
コンパスの直径は46mm。
この直径に合うコンパスを探し出せばいい訳だ。
いくつか持っている山コンパスの中から具合の良さそうなものをチョイスする。
どうやらスントのA-30が良さそうである。
ちょうど本体の直径も46mmだ。
底面にあるコンパス台座のスカート状フックを丁寧に外して本体を取り除く。
本体さえ抜ければ後は簡単に台座も外す事ができる。
確認のためにポーラメーターに仮組みしてみる。
うん、大丈夫だ。適合している。
ここで問題なのが奥行き(高さ)だ。
純正のコンパスは12mmであるが、スントのコンパスは9mmしかない。
つまり3mm分、高さが足りないのだ。
つまりその3mm分、新コンパスの下に下駄を履かせてやる必要があるわけだ。
ちょうど手持ちに1mm厚のプラ板があったので、コンパスで直径46mmの円を3つ書き出し、丁寧に切り抜いて3枚の円盤を作成した。
スントのコンパスは透けて透明である。
コンパスの下地が白無地なのもつまらないので、手持ちの蛍光シールや夜光シールをかき集めてカラフルな下地にすることにした。
うーん、チカチカは論外なので、淡いオーロラ地の夜光シールにしてみましょうか。
シールを貼るための位置確認の下書きをしているとき、コンパスのスケールを回転させたときに下の台座が一緒に動かないようにするストッパーが必要であることが分かった。
4mm四方の高さが2mmのストッパーも一緒に用意する。
ストッパーを組み立て接着剤で固定した後に、夜光オーロラシールを貼付する。
失敗するとスペアがないので緊張である。
うーん。
まあ、こんな感じですかね。
薄いブルーの夜光シールを用意しても良かったかも知れない。
なんか先日から工作ばかりしている気がする。
ストッパーがスムースにはまり、機能しているかどうか仮組みして確認する。
コンパスを回すとき、台座側はロックがかかってキチンと固定されている。
これなら一緒に回らずに大丈夫そうだ。
いよいよ2枚分のスペーサー代わりのプラ円盤を、両面テープの貼ってある箇所に押しつけて固定する。
円盤プレートの外縁は丁寧に処理しないとキチンとはめられない。
さらにストッパー付きプラ円盤を向きに気をつけながらスペーサーの上に接着する。
一発勝負なので緊張する。これで3mm分の下駄が確保された。
位置取りに失敗すると、両面テープの箇所から剥がしてやり直さなければならないので注意が必要だ。
お次はスペーサーの上に台座をはめ込んで、ポーラメーターと台座の位置マーカーが一致していることを確認する。
なんとかバッチリのようですね。
最後にスントのコンパス本体を台座にパチンとはめ込んで完成である。
コンパスのつまみを回せば自在に偏角補正の調整も可能だ。
ストッパーが働いているので、台座の位置マーカーが動いてズレてしまうこともない。
重量もオリジナルとさほど変わらない100gほど。
夜光シートが底に貼付してあるので、暗闇でも数分間発光してくれる。
そして何より速い!
と言うわけで、「軽くて速くて簡単な」ポタ赤シリーズもようやく終わりが見えてきた。
記事にするのは重くて遅くて面倒なポタ赤なのだが。
ポタ赤シリーズのラスト記事は三脚と総重量と細かい改良点かな。
いつになるかは分からないが以下次号。
ポタ赤を再考する1(導入編)
ポタ赤を再考する2(極軸アクセサリ編)
ポタ赤を再考する3(アングルプレート編)
ポタ赤を再考する4(ポーラメーター設置編)
ポタ赤を再考する5(レベラー編)
番外編:中秋の名月 2015
番外編:十六夜のスーパームーン
ポタ赤を再考する6(ドットサイト編)
ポタ赤を再考する7(ポーラメーター改造編)
番外編:ネジトラブル(前編)
番外編:ネジトラブル(後編)
ポタ赤を再考する8(三脚チョイス編)
ポタ赤を再考する9(角度計・前編)
ポタ赤を再考する10(角度計・後編)
ポタ赤を再考する11(GX8とEE-1の相性)
ポタ赤を再考する12(ゼロ・イン編)
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こんばんは。
いつも、「本当にまめな方だなぁ。」と思ってブログを拝見してます。
ご自分で手を加えたものは、愛着がわいてきますよね。
私もそんな根気がもう少しあればと思うばかりです
投稿: コニー | 2015年10月 8日 (木) 20時57分
こんばんは。
お久しぶりです。
興味のないことは全然マメじゃないので、よく嫁さんからマメになるようにと叱られます。
きっとコニーさんにもマメなところがあるはずですよ。
私は他には弁当箱の洗浄が凄くマメですね。
徹底的に洗い倒して、パッキンに関しては毎回沸騰したお湯で10分ほど熱湯消毒しています。
投稿: ちぇりた | 2015年10月 9日 (金) 02時13分
こんにちは。
私もポーラメーターのコンパスの動きの遅さに閉口しています。
こちらの記事を拝見し、同じようにSUUNTOのA-30を購入したのですが、コンパス台座のスカート状フックがどうしても外せません。
7か所のフックがコンパス本体に引っ掛ける構造になっていると思うのですが、フックの素材が硬くてマイナスドライバーで曲げて外そうとしても、曲がりません。
また、仮に1か所のフックが曲げられたとしても、それを維持しつつ、他の6か所も曲げるのは至難の業だと思います。
どのような方法でフックを外されたのか教えていただけると幸いです。
投稿: ひこうきぐも | 2022年3月 2日 (水) 23時26分
こんばんは、ひこうきぐもさん。
この記事が既に6年前のものなのではっきりとしたことは覚えていないのですが、思い出したことを記載させて頂きますね。
たしか私もA-30のコンパス部分を取り外すことに苦労した記憶があります。そして全周囲のフックを押しながら外すことは不可能と考え、コンパス台座を固定している透明なプラスチック製のスケール部分を切断したと思います。
コンパスの東西部分に位置する細い部分をニッパーで2カ所破断したはずです。
つまりコンパス中心に透明なスケールを上下に分断するようにします。
写真ファイル20151008h.jpgの透明なスケール部分を一緒に写すときに破断面を写すかどうかで悩んだ記憶があります。
ここを2カ所切れば簡単に取り外せますが、もうスントコンパスは使えなくなってしまいますが。(^^;
ただ、このポーラーメーターは未だ現役で活躍中です。
昨年のふたご座流星群の時に暗闇に落として、ポーラメーターの足座の一部を欠損してしまいましたが、そんなビハインドをはね除けて現在も非常に役立っています。
投稿: ちぇりた | 2022年3月 3日 (木) 00時38分
ちぇりたさま、早速お返事いただき大変感謝します。
最新(最終)の記事を拝見したところ、大変悲しい記事でしたので半ば諦めながらコメントをしたのですが、お返事がいただけてよかったです。
やはり、元のコンパスのスケール部分は切断するしかないのですね。
ネットを探し回ると、他の方の記録でも切断しているものがあったので、切断前提で購入しました。
早速、今週末にチャレンジしてみます。
ありがとうございます。
投稿: ひこうきぐも | 2022年3月 3日 (木) 23時40分
この改造はスントコンパスを取り外すことが出来さえすれば完成したも同然です(^^)
Have a good weekend!
投稿: ちぇりた | 2022年3月 8日 (火) 15時59分