SP 45mm F1.8 Di VC USD(テスト撮影)
このタムロンSP45mm/1.8Di VC USDは明るさをF1.8まで押さえておきながら重量は驚きの500gオーバー、加えて接写能を高めて、且つ手ぶれ補正のVCを搭載した単焦点レンズだ。
このサイズで、この大きさ・明るさならばさぞかしキヤノンのニューレンズEF35mm/1.4L2に匹敵とまでは行かないまでも、それに準ずるスーパーレンズなのではないかと否応なしに期待は高まる。
手に入れてから早数日。
何度か試写をしているとなんとなくレンズの性能がぼんやりと見えてくる。
発売前の期待値が高すぎたせいか、どうやら思っていたレンズとは異なる感じがする。
別に駄レンズという訳ではないが、コントロールになったのが発売の近かったEF35mm/1.4L2と言うのもギャップを生み出した原因になると思う。
まあ、前置きはこの辺にしてそろそろ本題に。
テスト撮影はいつもの被写体であるポン様。
被写体まで2m、ボディはNikon Df。
ISOは100に固定、WBはオート、Aモードで各絞り値にてレリーズを用いて撮影を行った。
【テスト撮影】
写真は撮って出しとトリミング。
まずは全体像から。
開放から色のり、コントラストはしっかり出るレンズだ。
ボケはまあまあ。
そしてシェーディングが結構目立つ。
解像感は若干眠い感じがする。
トリミングである。
中央部の解像感はかなり眠く、後方にはグリーンの収差が見られる。
隅角部は標準域のレンズらしく解像感はしっかりしているが、こちらにもかなりの収差が見られる。
約一段強絞った状態だ。
シェーディングはかなり改善し、解像感も少しアップしている。
色のりやコントラストは開放同様しっかりしている。
中央部の解像感は犬のすう壁や看板の木目などから改善が確認されるが、カリカリの画像を出すにはまだ弱い。
収差も若干残るのは隅角部でも同じである。
2段絞ると一気に解像度がアップする。
シェーディングはほぼ消失し、全体に抜けの良い画質になる。
中央部・隅角部トリミングでも解像感は十分である。
F4と比べてもF5.6の方が解像感は高いので、おそらくF5.6がピークと思われる。
ボケもあまり目立たなくなりパンフォーカス気味になる。
解像度も十分だ。
が、トリミングで見るとF5.6よりは解像感は低下している。
まあ例の如く回折などが原因であろう。
【サムネイル】
ここで各画像をまとめてサムネイルにしておく。
クリックで拡大となる。
【最短距離撮影】
最短撮影距離の29cmで犬の右目にピントを合わせて各絞り値にて撮影を行った。
もう一枚は点光源のトリミング。
近接撮影でもコントラストや色のりの低下かは目立たない。
ボケはかなり大きくでる。
最上のボケというわけではないが接写で大きく出る分、意外と気にならない。
・F8
F8まで絞り込む。
F5.6位までは点光源はキレイな円形ボケになる。
この辺りから9角形の形が目立ち始める。
同心円状のアスフェリカル文様も目立ちにくい。
精度の高い研磨が使われているのが分かる。
【まとめ】
決して開放から解像度がバリバリに高いレンズというわけではない。
昔のレンズのように絞り込まないと解像感がアップしないが、現代的なレンズらしく開放からコントラストや色のりは十分にある。
Nikon Df+SP45mm/1.8Di VC USD(開放F1.8)
開放は使えないのだろうか?と心配になるかも知れないが、芯は通っているようなので、ソフトレンズのような描写になるわけではない。
個人的には十分使えると感じる。
人物撮影やペット撮影に使うといい感じになる。
Nikon Df+SP45mm/1.8Di VC USD(F5.0)
絞り込むと解像感がグッと改善する。
35mmなどの準広角と違って45mmでは絞り込むシチュエーションは多いとは言えないかも知れない。
個人的な感想を述べさせて貰うと人物描写に長けたレンズなのだと思う。
掲載は出来ないがスタッフらを撮影させて貰ったところ、かなりいい質感の写りを出してくれた。
Nikonのレンズにボケを重視したポートレイトレンズNIKKOR58mm/f1.4Gがあるが、表面描写や収差の出方が若干似ている感じがする。
タムロンがこのレンズを意識したかは分からないが、使うとそれとは似て非なるものだと分かる。
ボケがかなり違うのだ。
ただ58mmより寄れて、手ぶれ補正が付いて、58mmよりは汎用性の高い45mmの焦点域を持って、コスト的に(58mmより)安く・・・・、でもボケは58mmほどでもないが結構キレイで、ちょっと重いレンズと言うことになるのだろうか。
Nikon Df+SP45mm/1.8Di VC USD
子供撮りや大切な人の撮影、ペットを含めて汎用性の高いレンズだ。
このレンズはヤバい。
Nikonマウントだけでなくキヤノンマウントもちょっと欲しくなってきた。
しかし寄れる分、保護フィルターは必須かも知れない。
私もチェリーの鼻やツメに備えて高級保護フィルターを用意した。
SP 45mm F1.8 Di VC USD
スペック
テスト撮影
実写と感想
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ペット用に向く、、、、と言われると気になるじゃないですか。。(笑)
ペットを撮影している機会が多いので、距離感はとにかく大事だと思います。それと、AFの速さと正確さ、手ぶれも母体にないのでとくに必要ですね。
投稿: SAKURA | 2015年10月 4日 (日) 16時39分
SAKURAさんのお探しだったのは、たしか35mmだったと思うので、この45mmは除外されても大丈夫ですよ。
45mmの購入欲が高まってしまったら仕方のないところですが?
35mmはコンセプトの異なるレンズらしいので、現時点ではちょっと分かりませんねえ。
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/tamronsp/20150918_721493.html
この45mmは悪い言い方をするとクセのあるレンズですので、試写出来る環境がありましたら一度試し撮りをするといいかもしれません。
AFは僅かにモッサリ。AF精度は合格レベル。
機敏なワンちゃんですと、ちょっと厳しいかも知れませんよ。
投稿: ちぇりた | 2015年10月 4日 (日) 22時51分
とても気になるレンズでしたので、大変興味深く拝見しました。
58mmと、厳密には違うと思いますが、比較的方向性は近そうなようですね?
確かにお値段半分位で、寄れて手振れ補正がある点がメリットですね。
タムロンには28-75という大変コスパの優れたレンズがあるのですが、
それも、開放は比較的やわらかく、絞ると解像してくるタイプで、
そういったものの単焦点版なのでしょうね。
ちなみに私はCANONユーザーなので、58mmはあれですが、
50mmは最も好きな画角なので、F1.4のリニューアルを心待ちにしています。
ARTと、この45mmに対して、そのうち出るであろう純正F1.4が
どういう方向性でくるか楽しみです。
投稿: ベガコペ | 2015年10月 4日 (日) 23時47分
仰るとおり58mmの方向性に近いものがあると思います。
58mm/1.4Gや35mm/1.4L2のボケと比べるとちょっと弱いですね。
ただ、普通のレンズと比べればボケはかなりよろしいので、過剰な期待を持たなければ全然いけると思います。
こうして考えるとやはりNikonやキヤノンは凄いなと思いますね。
このようなレンズがサードパーティーから出てきたことから、今後、より品のいいボケを作るノウハウを手に入れていくと思いますので期待したいです。
投稿: ちぇりた | 2015年10月 5日 (月) 02時19分