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ana

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2017年4月 3日 (月)

後ろ

実は今、父が入院している。
まあ大したことではないが、いわゆる検査入院というヤツである。

20170403a
Olympus E-M1 MarkII+M.ZD ED300mm/4 IS PRO

数日前の夜更けに、父の付き添いで一緒にいる母から連絡が来た。
自分の着替えを実家に置いてきてしまったのだが、生憎家には誰もいないのでここまで持ってきて欲しいというモノだった。

外は冷たい雨が降っていたが、仕方なく実家へ赴き荷物を手に取りタクシーで病院に乗り付けた。
既に消灯時間を超えているので病院の中は薄暗い。
父のいる個室へそそくさと入ると、薄暗い中で母が待っていた。

荷物を手渡し、寝ている父の姿を見てから早々に帰ろうとすると、母から温かい飲み物を買ってくるからここで待っていなさいと言う。
それなら自分で買いに行く旨を伝えるが、わざわざ来てくれたのだからと病室から出て買いに行ってしまった。

暫く寝ている父と二人だけになった。
窓からカーテン越しにそっと外を覗くと雨に濡れた綺麗な夜の街並みが見える。
パイプ椅子に座ってカーテンを静かに元に戻したとき、突然父から声をかけられた。

○○、お前の後にいる人は誰だい?

ギョッとした。
父を見るとジッと私の方を見つめている。
後を振り返るが当然誰もいない。壁があるだけである。

ああ、起きたんだ。
母は今ドリンクを買いに言っているよ。

そう答えると、再び父は「お前の後にいる男の人は誰なんだい?」と尋ねてきた。

ちょっと止めてくれよ。
場所が場所だけに冗談じゃないよ。
苦笑いをしながら父に話しかけると、ちょうどそこにコーヒーを持った母が戻ってきた。

20170403b_2
Olympus E-M1 MarkII+M.ZD ED12-100mm/4 IS PRO

今起こった事を母に話すと、「ちょっと止めてちょうだい!」と𠮟られた。
父にも先ほどの件を再確認すると「そうかあ?」なんて寝ぼけている。

「まあ、寝ぼけたんでしょ」という話に落ち着いたが、あのときの布団から頭をもたげてコチラを見ていた父の目が何故かとても怖く感じたのだ。
薄暗い中、私から僅かにずれた視線のあのえも言われぬ眼差しが今でも忘れられない。

たまに冗談を言う人なので、今回も冗談であって欲しいと心底願っている。(笑)
因みに帰る間際まで、もう少しいなさいよと母に相当ごねられた。

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コメント

ふふふ、【背後】シリーズは迫力を伝えるのに、あまりあるような・・・(笑)
でも、当事者は笑えない部分があるんですよね~~
とくに子供やかなり年老いたヒトたちには、違う部分の視力が備わっていると言いますから。。

私の座っていたパイプイスの壁側には父のチョッキが掛けてあったので、ひょっとしたらそれを見間違えていたのかもしれません。
でも視線の向きが逆なんですよねえ。

仰るとおり、当事者は洒落にならない怖さなんですよ。
いやー、今後は明るいときに行こうと思ってます。

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